「BAD KIDS/村山由佳」を読んで

村山由佳氏の「BAD KIDS」を読んだ。
一昨日コメントをいただいた凛さんへの返信にも書いたように、これまで読んだ三作品とは明らかにトーンの異なる小説であった。

冬の北陸の空のように、色にたとえると「グレー」が小説全体の覆っている色であるように感じる。「天使の卵」は春の空のような淡いブルー、「天使の梯子」は満月から少し欠けた月が浮かぶ夜の空の濃いブルー、「キスまでの距離」は初夏の空の強いブルー、いずれにしてもブルーを基調にした色が、村山氏の小説に対する僕の印象であった。

しかし「BAD KIDS」は明らかにそれらとは違う色を帯びていると思う。
決定的に違うことは、前述の三作品には、なんらかの結末がある。
主題に対する答えがあると言い換えてもいい。

「BAD KIDS」には結末がない。提起されている問題は、何ひとつ解決されない。
まるで目隠しをして平均台の上を歩いているような、不安定さが常にある。もちろんそれは、この小説のたまらい魅力のひとつではあるけれど。

おそらく村山氏は、この小説で提起される問題――大人たちが作り出した既成概念からすると「問題」として疎んじがられること――に対して、始めから答えなど用意していなかったように思う。答えるつもりがなかった言い換えてもいい。

それぞれの問題に答えない代わりに、隆之や都や北崎・高坂・響子らの生きかたをとおして、既成概念にとらわれない自分だけの色=TRUE COLLARSを、読む者それぞれに見つけて欲しい、そう言っているようにも思える。


僕のTRUE COLLARSって、一体何色なんだろう。
こんなことを考えること自体、僕は自分のことが一番好きな人間なんだろうな、たぶん。


BAD KIDS(バッド キッズ)

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