「聞きたい言葉―おいしいコーヒーのいれ方 (9)/村山由佳」を読んで

聞きたい言葉と、言いたい言葉・伝えたい気持ちとの間に、普段は意識することがあまりないだけで、とことんつきつめてみるとこんなに距離があるなんて思いもよらなかった。
テレパシーでもあればいいのにと子供じみたことを本気で考えてしまう。
喉からもう少しで出かかっても、すんでで呑み下す言葉もあるし、
相手の気持ちは十分すぎるくらい分かっていても
あえて言葉で聞きたいこともあるから、
「大切な人に大切であることを、きちんと言葉で伝えること」は本当に大切なことだとつくづく思った。

それこそ言葉として発してしまうと、当たり前の陳腐な言葉に聞こえてしまうが、
なかなかどうして時と場所と状況を適切に判断して、相手が欲している言葉を自分の言葉できちんと伝えることは簡単ではないと思う。



物語りも終盤に近づき、長年の懸案だったことにも少しずつ「ケリ」がつきはじめてきた。
もちろん良い結末、悪い結結末といろいろあるが。

今回の最大の山場は、――おそらくこれが物語りのクライマックスのひとつであると思うが――いきなり冒頭からやってきた。
F1レースであるかのごとく、スタート直後からもの凄い加速で「これはただ事じゃない」「とうとう核心へ突入するか!?」と、ただならぬ物々しさを醸しだしていた。
読み始めたのは午前1時をとうに過ぎていたが、当然途中で中断することなんて出来ず中盤あたりまで一気に読んでしまった。
(そこで中断して一旦寝床に入ったものの、結局5時過ぎに目覚めてしまいほとんど寝られなかった。こんなことなら、はじめから覚悟を決めて一気に最後まで読んでしまえばよかったかも)

それまでにいくつも伏線があったし、そのシーンを想像することはそれほど難しいことではなかったが、その場面に遭遇してみるとやっぱりかれんにもらい泣きしてしまった。
深夜に自宅で読んでいたからほとんど人目を気にすることもないのだが、この歳になってくるとかれんの気持ちはもちろんのこと、両親の気持ちも痛いほど良く分かり二重に泣けてしまった。
村山さんの凄いところは、読者も分かっている結末へ向けて決してお涙頂戴なんかではないのに、しっかり感動もさせられちゃんと泣かされもする力量を、とても自然にいつでも発揮できることかな。どこがどうって具体的なところはこれと言ってないのに、グイッと掴まれてもっていかれてしまう。さらわれてしまうと言ってもいいくらいに。

それにしても勝利は格好つけすぎだよね、やせ我慢しちゃったりして。
僕ならどうするかって?もちろんついていくよ、鴨川でもどこへでも、どこまでも。
自分の伴侶として絶対不可欠な相手だと思うなら、どんなことがあっても離れちゃいけない。
前にも書いたけど、人間は何時いかなる時も理性で100%コントロールなんか出来るものではなく、心と体が相互に影響しあっているものだと思うから。

作品本文で勝利も似たようなことを言っていたけど、親子や兄弟はどんなに離れていても、どんなにひどく罵り合って傷つけあっても関係が切れてしまうことはない。
だけど恋人や兄弟はそんなわけにはいかない。
互いの距離が埋めきれなくなったら、それでおしまいなんだ。
だから絶対に離れてはいけない、どんなことをしても離れてはいけない、というのが今のところ僕の持論、人生観です。

でも、片道2時間っていうのは微妙な距離だね。
問題ないといえば問題ないかもしれないし、遠いと言えば遠いかもしれない。
小説のファクターとするなら、確かに微妙で程よい距離かもしれないけれど。

さあ、次はいよいよ第一部のフィナーレ「夢のあとさき」だ。
村山さんはどんな結末を用意しているのだろう。


おいしいコーヒーのいれ方 (9)

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