「マチネの終わりに」を観て

昨年観た中で最高の作品だった。
と云うか、別格の素晴らしさだった。

この映画を観るまでは「蜜蜂と遠雷」が自分のなかで一番だったけれど、「マチネの終わりに」は群を抜いて最高の作品だった。

でも、何がそれほど最高だったのだろう。
自分でもまだよくわからないけれど、まず第一は原作が素晴らしいこと、且つ細部の作りまでしっかりしている事だと思う。
フレームがしっかりしているから安定感があり、監督もキャストもそれぞれに世界観を深めることができているように感じる。

第二にはキャストが最高であること。
おそらく西谷監督でなくても、薪野聡史は福山雅治だし、小峰洋子は石田ゆり子だったと思う。まさにはまり役。
三谷早苗の桜井ユキもとても良かった。
三谷早苗はこの作品の中で、単に重要な役回りというだけでなく、彼女の演技が浅かったり軽るかったりしたら、作品全体の評価を左右してしまうほどのキーマンだからだ。主役の二人より難しかったのではないかと思う。

第三には時間の流れ方が絶妙で、且つ余計な説明がないこと。
説明はあまり必要ないと思うけれど、ここの作りが緩いとたるみが出てしまったり、陳腐な印象になってしまう。

第四には音楽も素晴らしかった。
特にバッハがこんなに優しい曲を作っていたことを知ることができただけでも価値があったと思う。

第五には予告編の動画もとても良かった。
これを観てグッとこない人はいないのではと思うくらい。
https://youtu.be/HCE2owGeIdw

この作品が、本当の大人の物語と感じたのは、誰も人のせいにしないところだと思う。
誰しも誰かのせいにして、行き場のない怒りをぶつけたい、そう思っても当然だと思う。
けれど、薪野も小峰も相手のせいにしない、三谷のせいにもしない、師匠の様態にも携帯電話を忘れたことにもひどい雨のせいにもしない。
ただ静かに涙を流す。

そして福山・石田が、ギリギリのところで持ちこたえる辛い心境を、とても抑制の効いた演技で観る者の涙を更に誘っていた。誰も悪くないのに、何ともならないこともある。そして時だけが優しく、少しずつ癒していく、その姿を見事に演じていたと思う。

2019年の終わりに、とても素敵なプレゼントをもらいました。
是非、近いうちにもう一度見てみたい映画です。


原作:平野啓一郎
監督:西谷弘
製作:2019年 日本
キャスト:福山雅治、石田ゆり子、桜井ユキ、古谷一行

映画「マチネの終わりに」オリジナル・サウンドトラック - V.A.
映画「マチネの終わりに」オリジナル・サウンドトラック - V.A.

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