「東京奇譚集/村上春樹」を読んで

「偶然の旅人」
かたちのあるものと、かたちのないものと、どちらかを選ばなくちゃならないとしたら、かたちのないものを選べ
確かにそうかもしれない。
確証はないけれど、多分そうした方が良いと思うことの方を選んだ方が、長期的には良い結果になったような気がする。
ただ、それが仕事となるとなかなか難しいかもしれない。
社内を含めステークホルダーたちは、自分がかたちのないものの方を選んだと聞くと、多くの場合激しく非難をするのではないだろうか。
でも、自分を思いもよらない遠くへ運んでくれることがあるとすれば、それはやはりかたちのないものだと思う。かたちのあるものを選んでおけば無難だし、ひどく叱られることはないだろうけどね。

「ハナレイ・ベイ」
自然災害や野生動物に肉親が襲われて命を失った時に、何も誰のせいにすることなく、自然に還えっていったと考えることができるだろうか。
それが一人しかいない我が子に起こったことなら尚更のことと思う。
どんな小さなことでもいいから事件に結びつけて、人災にしようとすると思う。
夫を失い、息子を失ったサチの喪失感は想像するに余りある。
想像を絶する喪失感と、常夏のハワイの豊かな自然。
この短編集の中でも一番映像化が難しいと思われる物語を選んだ松永大司さんと、サチを演じた吉田羊さんの勇気に感謝。

「どこであれそれが見つかりそうな場所で」
考えるほどに不思議な物語。
「私」も「胡桃沢さん」も。
もちろんそれも含めてのハルキワールド。

「日々移動する腎臓のかたちをした石」
淳平とキリエの言葉のやりとりが秀逸。
誰にでも出発点というものはあるのよ。まだ先は長いでしょう。最初から完全なものなんてあり得ないもの
なるほど。
観察して、観察して、更に観察して、判断をできるだけあとまわしにするのが、正しい小説家のあり方なんだ
なるほど、そういうものなんだ。
職業というのは本来は愛の行為であるべきなんだ。便宜的な結婚みたいなものじゃなくて
なるほど。
この先、二人がどうなったかとても気になる。

「品川猿」
ハルキワールドの中では、比較的わかりやすい物語かもしれない。
スッキリと読み終えたい方にはおすすめ。



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