『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです/村上春樹』を読んで

あとがきをほとんど書かない村上さんが、
めずらしく本書では書いているので少し驚いた。
でも最後まで読むとその驚きも納得にかわる。

長年一緒に仕事をしてきた編集者を亡くした時の喪失感がどれほどのものか、
今の僕にはとても想像できない。

幸い身近な仕事のパートナーが亡くなることはまだないけれど
家族の一人を失うくらいの
大きなおおきな喪失感なんだろうと思う。

基本的に正負の法則ってあると思うから
日々楽しいこと、面白いことがある反面、
同じだけつらいこと、イヤなことがあるのは仕方がないけれど
仕事上とは言え身近なパートナーをなくすつらさは
楽しいこと、面白いことの対価として引き受けなければならないなら
長く生きることの意味って一体何なんだろうと考えさせられてしまう。

500頁を超える本書の中で
1頁あまりの短いコメントだったけれど
僕の心の中に一定のスペースを占めてしまうほど
ズシリとした、村上さんらしい「個人的」なあとがきだった。



少しだけだけど、本文についても感想を書いておきます。

以前に読んだ時は何気なくサラッと読んでしまったけれど
「神の子供たちはみな踊る」って、
神戸の震災を経て、村上さんなりに日本の読者に向けて
書いたメッセージだったなんて全然知らなかった。
タイトル作品の「神の子供たちはみな踊る」をはじめ、
「タイランド」「かえるくん、東京を救う」など
印象に残る作品が多かったのもうなづける。

収められている6編の短編どれにも共通する
とうとうと流れる生命力みたいなものは
この前読んだ時には漠然としか感じなかったけれど
書かれたプロセスを知った今なら
村上さんが作品に込めたメッセージを
きちんと受け止められるような気がする。

もう一度読んでみよう。





夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです
文藝春秋
村上 春樹

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