『ノルウェイの森/映画』を観て

どうしても都合がつかず
上映日初日には見られなかったが、
二日目の今日、妻と観に行った。

映像美を謳う映画をいくつか見てきたが
映像に「美」を感じたのは初めてかもしれない。
特にこの映画の場合は、色彩美と言ったほうがよいかもしれない。

青味掛かった白をベースカラーに
灰色掛かった緑がドミナントカラーとして使われ
朱色がアクセントカラーとして使われている。

小説のトーンが本当にうまく色彩表現されていて
こんな芸当はトラン監督しかできなかったと思うのだけれど、
少し残念だったのは、
約2時間の上映時間では展開が速すぎて
村上作品が持つ独特の時間感覚が
若干損なわれてしまったことだ。

小説を読んだ人なら分かると思うのだけれど
村上さんの作品では
ある種時間が止まったような
日常とは全く異なった時間の経過感覚があると思う。

小説を読んでから映画を観た人は
十分についていける展開なのだけれど
映画から作品世界に入ってきた人は
ワタナベ・キズキ・直子の微妙で複雑な距離感や
直子が葛藤しながら少しずつ壊れていく様、
突撃隊がただの変人ではなく愛すべき側面を持っていること、
確実に死に向かっている小林緑の父親と
病室で胡瓜を食べるコントラスト、
とても過酷な状況に置かれても
前を向いて生きようとする小林緑の強さと健気さ、
直子を失って自暴自棄になり日本中を彷徨い歩くワタナベ、
レイコさんと寝なければならなかった理由、
小林緑とこれからの人生を生きてゆこうと決意する瞬間の心の動き、など
十分に伝えきれないないのではと感じた。

途中で休憩時間を挟んでもよいので
倍の4時間くらいに仕立ててもよかったのではと思うのは
僕だけだろうか。

これだけ並べ立てて書いてしまうと
満足できなかった印象があるかもしれないけれど
決してそんなことはない。

飛行機の機内で「ノルウェイの森」を聴いて
回想が始まる冒頭のシーンをカットしたり
原作にない挿話を入れたりしても、
世界観が損なわれないのは流石と言うしかない。
エンドロールが終わるまで、観客が誰も席を立たなかったのは
期待以上の映画だった証拠ではないだろうか。

トラン監督、
DVD化するときには、
是非ノーカット版でリリースしていただけないでしょうか。
いちファンからの心からのお願いです。
よろしくお願いします。



ノルウェイの森 上 (講談社文庫)
講談社
村上 春樹

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