「星々の舟/村山由佳」を読んで

しっかり書かれた作品だと思う。
それぞれの語り部が強いメッセージ性を持って次々に語りかけてくるのはかなりの迫力だ。
持っている主題も深いものが多く、薄っぺらな感じもない。
さすがとしか言いようのない心理描写も健在だ。
有名な賞を獲るだけの内容は十分にある。

「だが、しかし」とあえて言いたい。
それぞれの語り部が言わんとしている事は、
これまで読んできた作品からしても、そのまま村山さんの価値観とイコールだと思うし、
ほとんど僕も同感だ。

だけど、それにしても語り部が多すぎると思う。

僕の考えが保守的だとの非難は甘んじて受けるが、
小説としての味わい深さと言う面から言うと「翼」の方が自分は好きだ。

語り部が6人も登場する作品なんて、
これまで読んだ中では他の作家も併せても一人もいなかったのでかなりびっくりしたし、
冒険的な意気込みにも確かに感心させられた。

だけどこれは多分に好みの問題でもあるし、
仮に語り部が一人でも十分に楽しめるだけの内容があると思うのだか如何だろうか。

そうだなあ、僕だったら美希を語り部にして全体を構成したんじゃないかな。
彼女を通して暁・沙恵との恋愛を描き、重之の人生観を語らせても良いと思う。
出口がなくどこへも行けないのは分かっていても、
暁と沙恵とのこれからももう少し知りたい気もするし。

反戦へのメッセージもこの小説の一部ではなく
村山さんの気持ちの強さからすると、これだけで一つ独立した小説にしても良いと思う。

真正面から反戦メッセージを読者へぶつけても、
大半の読者はきちんと受け止められるんじゃなかな。


星々の舟

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック