「野生の風/村山由佳」を読んで

なんてせつないのだろう。

エンディングに向けて読み進むに従って、胸が締め付けられるようにきりきりとなり、通勤電車の中で涙をこらえることが大変だった。

僕は常々、村山さんの他の作品を読んだ感想でも
「自分が求める人より、自分を求める人と一緒にいたい」
と言ってきた。
今でもその考えには変わりはない。

だが、しかし、である。

一馬は自分と自分の助けを必要とする、祥子と翔馬のもとへ行くことを選択した。
もっと言えば、祥子よりも飛鳥よりも翔馬を選んだ、
男であることよりも、父親になることを選択したと言ってもよいと思う。
確かに僕が普段から唱えているポリシー通りの選択を、彼もしたことになると思う。

自分と同じ価値観を持つ登場人物が作品の中にいたら、
その彼がどんな選択をしてもたぶん普通は
「つらいだろうけど、それもしょうがない」と思えるのではないか。

なのにこれだけ胸が締め付けられるのは何故なんだろう。
なぜ、なんだろう。

今の僕にはまだ、うまく説明できそうにもない。
気持ちの整理がついたら、いずれ書きたいと思います。


作品としてはとても良かった。
アフリカ大陸というとても大きな舞台で、二人の男女の心の奥深いところを描いていて、
まさに村山ワールドの真骨頂とでもいうべき作品であったと思う。

また特に、今回感じたことは、村山さんの作品は小説としては長編が多いのだけれど
数十ページで完結する短編もたぶん上手いんじゃないかなとうことです。
 
二人の出会いから結末までをこの作品のような構成で組むことができ、
また、わずか数行で、もっといえば数個の言葉だけで作品の世界へ引き込むことができる力を持っているので、きっと短編でも面白いものを書けるのではないかなと思った。



野生の風

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