「夢のあとさき―おいしいコーヒーのいれ方〈10〉/村山由佳」を読んで

「おいコー」シリーズを読み始めてから毎日4~5時間しか寝れなくて
正直体力的にかなりきつかったけど、
とうとう第10巻まで読んでしまいました。

なんで勝利はこれほどまでに嫉妬深いのだろう、読んでるこっちまで気分が悪くなり
胸がムカムカしてくる、村山さんもどうせならもうちょっとイイ男に描いてあでればいいのに、曲がりなりにも主人公なんだから・・・なんて思っていたら、あることに気づいて
「はっと」
させられた。

胸糞悪かったのは、勝利が嫉妬の権化のような男だからではなく、
僕の中に潜む「嫉妬深い、俺」を潜んでいた穴の中から村山さんに無理やり引きずり出され、白日の下にさらされたことに気づいて、はっきり言ってかなり落ち込んでしまった。

そう、何を隠そう勝利のことをとやかく言えないくらい、僕もかなり重度の嫉妬の権化だからだ。
嫉妬心は自己愛の180度裏返しだから、
自己愛が深ければ深いほどそれに比例して嫉妬心も深く重いものになる。
僕の場合は、勝利よりも数倍我儘まで傲慢で利己的で冷酷で屈折していて、本当にたちが悪い。勝利が「嫉妬の権化」なら僕のそれはおそらく魔王級だろう。

そんな僕が、何か勝利にアドバイスしてやれることがあるとしたら、
少なくとも好きな人の前だけは、背伸びしすぎず等身大の自分でいるように心がけろと言うことと、
我慢しきれなくなるまで溜め込まずに少しずつ小出しにする「練習」を積んで、
取り返しのつかない傷を大切な人に負わせないように自分と折り合いをつける技を身に付けろ、と言うことぐらいかな。

さっきも言ったように、嫉妬心は自己愛の180度裏返しで、その人の心の本質的な部分であるから、押さえ込もうして抑えきれる類のもではないと思うし、本質的な部分であるからこそ変えようと思って変えられるものでもない。
唯一出来ることとしたら、どうすれば人を深く傷つけずに吐き出すことが出来るようになるかくらいしかないのではないか。

本当に嫉妬心て言うやつは困ったものだ、ないならないで自虐的になりすぎて人格が崩壊してしまうだろうし、強すぎたら強すぎたで他人も自分もズタズタに切り裂いてしまう。

僕もまだ上手く出来ているとはいえないけれど、ひとつの糸口は大切な人とは向き合うのではなく、同じ方向を向こうとすることではないか、と思う。
口で言うのは簡単だけれど、簡単に出来ることではないんだよな、これが。

自分の嫉妬心と上手く折り合いをつける方法はあまり多くはないけれど、恋愛を続ける上での実際上のアドバイスなら幾つかある。
ひとつは、親に借金してでも自動車の免許をすぐにとること、
もうひとつはオンボロでポンコツでもいいから自分の車を持つこと、
そしてもうひとつは一日でも早くかれんと一緒に住むこと。

なかでも自分の車を持つことは緊急課題じゃないかな。
小説では触れられてないけど、病院の駐車場で中沢氏の白いクラウンに乗り込もうとしているかれんを見たとき、特に学生の身分である勝利は歯軋りで奥歯が擦り切れるくらいの屈辱感を味あわされたのではないか。
極貧の大学生活を送っていた僕は、それこそ枚挙に暇がないくらい沢山の屈辱感を味わった。
僕が貧乏性なのはたぶん生まれつきのものではなく、おそらく学生時代の貧乏に端を発した後天的なものではないかと思う。
今思うともっと両親に図々しく甘えればよかったんだけれど、なぜかその時は出来なかったんだよな。
「おいコー」シリーズにこんなに引き込まれてしまったのは、村山さんの術中にハマってしまっただけでなく、勝利が生きていく上での器用さに欠けるところが、自分とオーバーラップして見えたからかもしれない。

今では「不器用でも真直ぐに生きていくんだ!!」と思えるようになったけれど、結構しんどいんだよね、コレガ。


書くのが後になってしまったけど、これにて第一部が終了と言うことで、村山さん12年間の長きに渡りお疲れ様でした、っていうか、ありがとうございました。
自分は半月くらいの間に眠い目をこすりながら、ほとんど一気に読んでしまったけどそれでも十二分に楽しませていただきました。
短期間に一気に読めたことは、それはそれで良かったんですが、
リアルタイムで読む醍醐味が味わえなかったことが残念でした。

第二部はもう既に始まっていて、5月に発売されるとのことなので、
WEBのほうはあえて見ずに、本が発売されるまで楽しみは取っておこうと思います。



夢のあとさき―おいしいコーヒーのいれ方〈10〉

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この記事へのコメント

2007年04月24日 19:06
こんばんは☆
嫉妬心かぁ。恐ろしいものです。。大切
な人を傷つけるのと、思ってることを言
うのは違いますものね。
『大切な人と向き合うのではなく、同じ
方向を向こうとする・・』う~ん、深い。
そして、新鮮な響きです。
いろいろ感想文
2007年04月24日 21:43
凛さん、いつもコメントありがとうございます。
ところで凛さんは「対面同席五百生」という言葉を聞いたことはありますか。
意訳すると、偶然にみえる出会いでも実はその人に出会うために、互いに5百回生まれ変わってきているきているのだから、一つひとつの出会いを無駄にしてはならない、意味のない出会いなんてない、という意味だそうです。
僕がこうして村山由佳さんに出会えたことや、村山さんを介して凛さんに出会えたこともこの言葉によると単なる偶然ではないそうです。
これからも村山さんの作品をはじめ、いろいろな作家の作品を読んでいこうと思っていますが(当分のあいだは村山文学の大はまりから抜け出せそうもありませんが)、気づいたことがあったらコメントをお願いします。
2007年04月24日 22:06
『対面同席五百生』・・意訳の方が印象的
で、心にしまってありました。
誰かの言葉をかりて言うならば、必然って
事なのでしょうか。
こうして何度もいろいろ感想文さんの作品
に足を運ばせて頂いてるのも、何か惹きつ
けられる物があるからです。
村山さんを介して、いろいろ感想文さんの
思想に触れることができ、刺激となりまし
た☆

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