「遠い太鼓/村上春樹」を読んで(その2)

(その1からのつづき)

本文にも何度か出てくるが、
ベストセラーとなった「ノルウェイの森」と「ダンス・ダンス・ダンス」をはじめ、幾つかの短編と翻訳は欧州滞在中に書かれたのとのこと。どちらの小説も既に読んでいるが、まさかほとんど国外にいる時に書かれたとは思いもよらなかった。

村上氏はこの旅行記で自分でも言っているように、仕事はかなり集中して一気に書くことが多いとのこと。確かに「ノルウェイの森」の後半のスピード感や、全体をふわっと覆っている清涼感などは、短い期間に集中して書かないとなかなか出せないように思う。まさに森の中を歩いている時に感じる瑞々しさやほの暗さ、木漏れ日の柔らかさを感じたもんなあ。

日本にいたのでは、雑音が多くて集中できないのかな、確かにそう思えなくもない。作家に限らず、才能に恵まれた人にとって「出る杭は打たれる」的な足の引っ張り合い社会はとても住みづらく、良いところや違いを認めある社会のほうが住みやすいことは、僕は有名人になったことはないけれども、分かるような気がする。

また、それとは全然違うことだけれど、村上氏は絶えず「異邦人でいたい」と望んでいる節があるように思う。その気持ちは分からなくはないけれど、でも自分でも「どうして」と訊かれると、理由はよく分からない。

それと村上氏の小説で特徴的なことの一つに「井戸」がある。特に井戸の中でじっとしていたいという願望が絶えずあるように思えてならない。小説を書いているときは、普段とは特別な精神状態にあるとのことだから、とりわけその願望が強くなるのであろうか。

僕ら一般人のように、何かでしくじって凹んでいるときに誰とも会いたくないと思う気持ちとは違うんだろうな、たぶん。

遠い太鼓

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